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徹底的にクヌギ・クヌギ・クヌギ
色々なホームページの採集記に掲載されているクヌギの写真は、みな凄いメクレがあったりウロが出来ていたりと、いかにも樹液ダラダラ・カブクワうじゃうじゃといったものばかりです。
まるで雑木林に行けばあんなクヌギがすぐにでも見つかるような気がしてきますよね?
でも、、、実はほとんどのクヌギは「電柱クヌギ」と呼ばれる太くて真っ直ぐで健康的?で、樹液など滲みもしないものばかりなんです。有望なクヌギは100本に1本あるかないか。。。もし1日歩き回って「これだ!」と思えるようなクヌギに5本巡り合えたとしたら、疲れなんて吹っ飛ぶではずです。
それじゃぁ何故みんな凄いクヌギばかりを載せているのか?答えは多分「誰も電柱クヌギの写真なんか撮らないから」のひと言に尽きるでしょう。それに徒労に終わった1日をショボショボ書き綴ったところで面白くないですもんねぇ(笑)

それゆえ1本でも多くのクヌギを確認することがとても大切になります。数百メートル先まで含め、目の届く範囲にある全ての樹の中から瞬時にクヌギを見分けることができれば下見の効率は何十倍にもアップします。
そんなマニアックなことはとても出来ないと思われるかも知れませんね。でも実はそれ程難しいことではないんですよ。

方法はただひとつ。とにかく沢山のクヌギを意識的に眺めることです。

本当なら実物を数多く見ることが大切なのですが、限られた時間の中ではそれもままならないでしょう。せめてこのページでクヌギ三昧してみて下さい。
ご多分に洩れず、私も手持ちのクヌギ写真を探したところ「普通のクヌギ」がほとんどありませんでした。それでも、より多くのクヌギの姿を目に焼き付けておけば、実際に雑木林に出向いたときにきっと役に立つはずだと信じています。

写真に付したコメントなどもご参照いただき、徹底的にクヌギを覚えてしまって下さい。
(ファイルサイズの関係で解像度が低く、樹皮の様子などがわかりにくいと思います。写真をクリックすると拡大画像が表示されますので細かな部分はそちらでご確認下さい。)
まずは少し離れた場所から見た、クヌギの樹姿からです。。。
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急な斜面の上部でうねるような姿を見せているクヌギ。ここまで捻くれたクヌギがそうそうあるわけではないが。
頭上まで覆われたヤブの中に見えるクヌギ。ねじれた幹の下部、右に伸びる枝のわきの下に当たる部分にウロが見える。かな?
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冬枯れしない常緑の「キヅタ」に覆われたクヌギの大木。枝が素直に真っ直ぐ伸びていないのがわかるでしょうか?
これといった興味をそそられない樹姿。それでも「向こう側に素晴らしいメクレがあるかも!?」と考えると、そばまで行かずにいられない。。。
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画面手前の「V」の字がクヌギ、その奥の枯れた(肌色に見える)「Y」はエノキ(榎)だった。エノキの朽木はオオクワの幼虫が好むと云う。
根元から分かれた2本のうち、左側は既に枯れて菌類(カワラタケの仲間など)に覆われている。
それではもう少し近寄って、樹皮の様子を見てみましょう。
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撮影したのは2月。これは極端な例ですが、このようにクヌギは遅くまで枯葉が枝に残っていることが多く他の樹との見分けが容易なので、晩秋の下見は効果的だ。
特に理由も見当たらないが、樹皮が盛り上がりメクレかけています。何年か先には、樹液酒場になっているのでしょうか?
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このようなめくれた状態になると、樹皮との境に樹液が滲み出る可能性が高まります。これを剥がしてしまうと樹液は涸れて二度とカブクワは集まってくれません。
メクレとは異なりますが、こういったボコボコにコブができたクヌギからも樹液が期待できます。過去の枝打ちなどの管理によるものなのか、こういったクヌギは1箇所で何本も見つかることが多いものです。
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太い枝が台風などで折れたあとでしょうか?周囲の肉が盛り上がり、傷口をまき始めています。こういった不自然な成長の歪(ひずみ)がメクレやコブの要因なのかも知れません。
比較的樹皮の薄いクヌギの例です。上部にあるメクレた皮の薄さでお分かりでしょう。この樹があったのが尾根の比較的乾燥した場所であることと関係があるような気がします。
次は、大切な株元(根元)のアップです。目の高さばかりに気をとられがちですが、幹の周囲360度を足元から頭上まで、正に舐めあげるように(笑)見ることが大切です。
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こちらは湿度の高い場所。樹皮は厚く発達し、株元は繰り返し伐採されたためコブのように膨らみ、コケに覆われる。ある意味クヌギの特徴を全て備えた樹と云えるだろう。
萌芽更新によって根元から3本の幹が生えている。左同様典型的なクヌギの姿だが、こう云った樹の場合、日当たりが悪いせいか樹液の見られることが少なく採集に適さないことが多い。
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こちらも伐採の痕が見られる。ヤブの上に出ている幹が細くても、過去に手入れのされている樹の場合は株元がコブになっていることが非常に多い。
なんと云うこともない根元だが、樹皮の間から樹液が滲み出た樹液痕見られる。目の高さばかりでなく根元から上部までしっかりと眺めよう。
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根元左に有望なメクレがある。見落としがちだが株元はメクレの宝庫だ。何より小さな子供でも採集しやすいのがいい。
こんなウロ(奥が深い)があることも。樹液が出れば申し分ないのだが。。。
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こちらも期待のできる株元。画面左の幹の裂け目には昨夏の樹液の痕がある。
根元のメクレの場合、下側は雨などが溜まるせいかクワガタが潜むことは少ない。覗きにくい上部のメクレを掻き出し棒で丹念に探す必要がある。
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根元の幹全体から樹液がダラダラ滲み出ている。シーズン中、表面にはカブト・ノコ・コクワ、メクレの下にはヒラタやコクワがいつも見られる樹だ。
クヌギは林道脇の斜面に植えられていることが多く、こんな風に根が露出していることもある。凹凸が多く「いかにも」と云った感があるが人目に付きやすいのでシーズン中の採集は意外に難しい。
樹液写真が出てきたところで、クヌギの樹液の出方についても見てみましょう。
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直径1cm程の小さな穴から樹液がたれている。穴の中は樹皮が浮いてクワガタが潜むに十分な、そして何より安全な空間が出来ている。
「これコナラじゃないの?」と思った方、かなり目が養われてきていますね(笑)確かに樹皮も樹液の出方(幹から滲むように出る)もコナラっぽい。この写真ではかろうじて右端の樹皮の感じでクヌギとわかります。
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こちらの根元も特にメクレなどなく樹液が滲み出る。こう云った樹のありかは、昼間の下見でヒカゲチョウが飛び立って教えてくれることが非常に多い。
過去に何らかの理由で傷ついた樹皮。不定形に抉られたような傷から、林道造成などの際に重機がつけた痕ではないかと思う。
最後に「こんなクヌギを探したい」と云う目標をいくつか。。。
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とても手の届かない樹の高い場所にあるメクレ。こう云った樹の場合上中下と何箇所もメクレのあることが多いので、見かけたら諦めずに必ず根元まで行ってみよう。
こんなのが毎回1本でいいから見つかるといいのに。。。
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右が「電柱クヌギ」
左は。。。幹の中央が不自然に膨れ、左の側面には樹液痕と思われる変色している部分がある!こんな小さな違いを絶対に見逃してはならない。
左の樹を回り込んだ写真。放置され、竹薮が迫った場所だがこんなお宝が残されていることもある。1日の苦労が報われる至福の瞬間。。。
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これまた横綱級のクヌギ。根元・胸元・頭上にものすごいメクレがある。この1本だけのために毎日でも通ってみたい。
左の樹を別角度から。ここまで来ると樹の寿命が気に掛かるが、幸い幹には新しい芽吹き(胴吹き)が見られた。台風などに負けませんように!
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一見派手だが、クワガタが隠れるメクレはそれほど深くはない。それでもカブト・ノコ・コクワがいつも陣取っている楽しい樹だ。
オオクワの産地として有名な山梨県韮崎(にらさき)の巨大な台場(だいば)クヌギ。
こんな巌のような巨木が林立する場所だからこそ、オオクワも残されているのだろう。
さて、いかがでしたでしょう?クヌギはもう結構(笑)?もちろん写真で見るのと実物とでは異なりますが、ただ闇雲に歩き回るよりは「あそこにクヌギがあるな」と目星をつけて向かう方が間違いなく効率的です。20m程度の距離までにあるクヌギは必ず見分けが付くようにしておきたいものです。

次の章ではもっと遠方、数百メートル先にあるクヌギの林を見分ける方法について、季節ごとの特徴をお伝えしたいと思います。
「ドライブの途中、目に付いたクヌギ林でちょいとカブトムシ採集」な〜んてことも、夢ではありません。。。よ?

 

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