2006/5/31(水 )  晴れ

5月も後半、梅雨入り目前になってようやく青空が顔をみせるようになってきた(^^)。今日は日中の気温も上がってさわやかな1日だったこともあり、仕事中からソワソワ落ち着かない。各地でちらほら聞こえ始めたヒラタ目撃の情報も気に掛かるが、千葉の里山はカブクワの出足が遅い。今しばらくはホタル・モリアオといった季節もので楽しむことにしよう!

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千葉県 某所

ここのところ、会社の後輩キムシンの付き合いが非常に良い(^^)。 「ゲンジボタルを見に行かないか?」の誘いに二つ返事でついてきた。そうかぁ〜、じゃ、ご褒美にこの春見つけたとびっきりのホタルポイントを紹介してやることにしよう(^O^)
、と張り切って運転していたが、道を1本間違えた(^_^;) でもこの辺りはそこいら中が魅力的な谷津田ばかり。ならば間違えついでにちょっと寄り道し、この4月にトウキョウサンショウウオの卵のうを見つけた場所に幼生でも探しに行こう。。。(^^)v
サワガニ ヒルの仲間
この谷津の田んぼの中には、サワガニが多い。いつも行く天竺のサワガニは周囲の水路にしかいないので、ちょっと不思議な気がした。 のたうつように身をくねらせていた緑色の大きなヒル(蛭)だが、脇に連れ添っているのは♂だろうか?それとも攻撃を仕掛けてきた敵?
ゲンゴロウ類の幼虫の捕食 ゲンゴロウ類の幼虫の捕食
ここではゲンゴロウの仲間の幼虫をよく観察することが出来た。餌食はもっぱらオタマジャクシが多いようだ。
大きさは4cmほど。アリジゴクのような大アゴの目立つ顔付きは、水中をちょろちょろ泳ぐ成虫の容姿とは違って、いかにも獰猛そうだ。もちろん成虫だってホントは獰猛な性格なのだろうが。。。
トウキョウサンショウウオの幼体 トウキョウサンショウウオの幼体
!?初めての出会いを楽しみにしていたわりにあっけなく見つかった(^_^;)、 トウキョウサンショウウオの幼体。春先に卵塊の見つかった、谷津の田んぼ脇にある流れのないよどみに、鰓のはみ出した可愛らしい姿がユラユラと動いている。。。
トウキョウサンショウウオの卵のう トウキョウサンショウウオの卵のう(幼生)
こちらが今年の4月1日、同じ場所で見つけたトウキョウサンショウウオの卵のう。想像していたよりもずっと大きな塊なので少々ビックリした。全長15cmに満たないサンショウウオがが、自分の全長ほどもあるこの塊を2つづつ産むのだと云うから驚きだ。
この場所でもホタルがチラホラと。。。こういった谷津の奥ではホタルを見ること自体はけっして難しいことではない。でも最近では欲が出て、ぜひとも「ホタルの乱舞」を見たいと願うようになってきた。今日の目的地はそれが叶いそうだと期待できる場所だ。 気が付けばもう22時。ホタルが一番活動する20時はとっくに過ぎている。さぁ〜て、急いで行かなくちゃ!!

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千葉県 某所

この辺りはカブクワのポイントとしては心もとない場所だ。狭い農道と田んぼに挟まれたほんの小さな雑木林があり、樹液痕のあるクヌギが数本あるのを確認しているだけだ。まぁ、数分を惜しんでも仕方ない。行きがけの駄賃にクヌギの樹液でもみるか!? と何も期待せずに車を下りると。。。
ミヤマクワガタ ミヤマクワガタ
ゲッ!(@_@;)何?なに〜???! ミ、ミヤマだぁ〜! もうビックリ(@_@;) まさかここでお前に出会えるとは思いもしなかった。ましてこの時期。 だってまだ5月だぜ!? 
ミヤマクワガタ ミヤマクワガタ
ミヤマクワガタ ミヤマクワガタ エゾ型?
まだ蛹室を出て間もないのだろう。全身くまなく金ぴかの体毛に覆われた見事な個体だ。サイズこそ55mm程だが、多分、俺が生涯で出会った中で最も美しいミヤマだ。。。

標高70mとミヤマが生息するには少々低すぎるようにも思うが、一般に谷津田周辺は昼夜の温度差が大きく、夜間は必ずと云っていいほど霧に覆われる。この温度差と空中湿度の高さがとがミヤマの生育に適しているのだろう。そしてもうひとつ、この周辺の谷津に滲み出る根垂れ(湧水)は冬の間いつも凍りついている。千葉と云うと菜の花の咲く暖かな房総のイメージがあるが、内陸部の寒さは意外と厳しいものなのだ。。。こういった点が、ミヤマがが比較的普通に見られ、逆にヒラタを見かけない理由のひとつなのかも知れない。
コクワガタ 樹液の虫たち
樹皮がわずかに浮き上がり、樹液の匂いを漂わせている中を掻き出すと、内歯の位置が低くて何とも紛らわしいクワが顔を出した。。。よく見りゃコクワってすぐわかるけど、ヒラタ!?なんて。。。(^^ゞ 蛾やケシキスイなどが集まっているのは、樹皮にわずかに滲んだ樹液だ。この樹は派手なメクレは少ないが、樹皮が浮き上がって小さな亀裂が生じ、内部にふんだんな樹液が出ている。
オオスズメバチ オオスズメバチ
「いやぁ〜、まいったなぁ」ポリポリ。。。とでも云っているようなキュートなオオスズメバチ。この時期の大きな女王バチは攻撃性が少ないので、可愛い仕草を見かけるとついつい近づいてしまうが、要注意!!

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思わぬミヤマの出現で、これまた時間を取られた。。。(^^ゞ まぁ、こういった邪魔ならいくら入ってくれてもいいんだけどねぇ〜(^O^)/ 
と、再び車に乗り込んで数分。秘密のホタルスポット(のはず)につながる谷津の入り口から奥へ奥へと歩き始めた。
ウツギ (卯の花) オニグモ
この季節、いたるところで見かける夜目も鮮やかなこの白い花はウツギ。昼夜を問わず、色々な昆虫たちが集まってくる。 そしてこれまたよく見かけるオニグモの精緻な巣
スイカズラ (ニントウ 忍冬) スイカズラ (ニントウ 忍冬)
また、里山に似つかわしくないと思えるほど妖艶で芳醇な香りの帯に気付いたら、周囲を見回してみよう。少々黄ばんだ忍冬(スイカズラ)が見つかるはずだ。時にむせ返るほど強烈に香っている。
マルタニシ オタマジャクシとヤゴ
たまにはタニシでも撮ってあげよう。(^^ゞ ヤゴがオタマを捕食しているのかと思って撮影したが、どうやら勘違い。もしやエサの奪い合い??
鳴くアマガエル カギシロスジアオシャク
ノドと腹をいっぱいに膨らませて恋を語るアマガエル。 最近、この形の蛾がシャクガの仲間だと判るようになってきた。カギシロスジアオシャク。
カキの花 ヒキガエル
道端に落ちていたこのつぼ型の花は、谷津田の周辺のお馴染み、カキノキの花。 KONISHIKIを思わせるヒキガエルのわき腹(^_^;) 真夜中の農道でガサガサ音を立てるのは大抵コイツだ。
ゲンジボタル クモの巣に捕らえられたゲンジボタル
谷津を奥に進むにつれて、ホタルの姿が徐々に増えてくる。 中にはこんな風に虚しくクモの犠牲になるものも。。。助けるべき?自然のままにおくべき??  まぁ、あんまり固いこと云わずに逃がしてあげよう!(^^ゞ
ゲンジボタルの光跡 カワニナとドジョウ
、と云うことで、クモの巣から放たれて元気に飛び去っていったホタルの後姿。達者で暮らせよ〜

足元の澄んだ水路にはドジョウや、ゲンジボタルの幼虫のエサであるカワニナが。。。この日見つけたホタルは身の回り5m四方に数十匹。絶対数は多くはないが、狭い範囲に飛び交う淡い光は素晴らしい感動を与えてくれた。コンパクトデジカメでは写真に残すことはままならなかったが、今日はこの美しい景色を心に刻み付けるだけで満足するとしよう。。。

ヒバカリ ヒバカリ
そろそろ帰宅の途に、と思い始めた時、同行のキムシンの鋭い声が闇夜に響いた。ライトの先には。。。谷津田の可愛い住人、ヒバカリだ!!獲物であるオタマジャクシや小魚などを求めて水路の中をすべるように這っていた。かなりのアップで写しているため大きく見えるかもしれないが、頭部は女性の小指の先くらい、長さも50cmほどの、本当に小さく可愛らしいヘビだ。
ヒバカリ
と云うことで、今日のスペシャルな1枚は、このショットに決定! 長虫の苦手な方、すみません(^^ゞ 
ヒバカリは、谷津田に依存している高次捕食者の代表格だ。彼らが住んでいることは、豊かな生態系が残されていることの証であるといえよう。そして、彼らとて、オオタカやサシバ(中型のタカ)など、さらに上位の生き物の糧となるのだ。そう云えば、この谷津田から数Kmの場所でディスプレイを繰り返すオオタカのペアを4月に目撃しているし、初めてここを訪れた際にはノスリ(同じく中〜大型の猛禽)が梢から水田を見下ろしていた。さっき見たゲンジボタルも最盛期には相当な数を見ることが出来るであろう。とても豊かな生物を育むこの場所は、開発の手に晒される可能性が低いとは云い難い、実に微妙なロケーションにある。どうか、そんな悲劇がいつまでも訪れることがありませんように。

2006年フィールドノート
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