2006/5/25(木 )  晴れ

5月下旬とは思えないような不順な天候が続いている。そろそろホタルの季節だが、さてどうしよう。。。もちろん晴れている必要はないのだが、気温が上がってこないのがどうにも痛い。今日は久しぶりの晴れ。青空だけで心が弾む(^^ゞ まぁ、あれこれ考えず、とっとと仕事を切り上げて久しぶりに夜間外出に出掛けてみよう!
、と云うことで、キムシンを誘って天竺に向かうことにした。思い起こせば去年の今頃、ホタルとモリアオとの邂逅があったからこそ俺は天竺に通いつめ、オオクワやイモリを始めとしたさまざまな生き物たちのと出会いに満ちた夢のようなシーズンを過ごすことができたのだ。
あの夜が、今の俺のフィールドワークのスタイルを決めたと云って過言ではない。。。そんな風に思いを馳せながら、東に向かってハンドルを握った。

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天 竺

実は天竺に来たのは去年の10月2日以来、実に8ヶ月ぶりだ。オフの間に思うような活動の時間が取れず、少しでも新規のポイントを見つけるために天竺詣では後回しにしてきた。その間に、何か不測の事態に見舞われていたりしないだろうか?今年も田んぼに水が張られ、田植えは行われているのだろうか。。。? 不安が頭をよぎる。いつもの場所に車を止め、少し早足で天竺に続く山道へ向かった。
トゲナナフシの幼虫 トゲナナフシの幼虫
山道に差しかかってすぐ、キムシンが「これ、なんっすかね?」と足元を照らした。体長15mmほど、よくこんなものに目が留まったものだと感心しながら眺めるとどうやらナナフシのようだが、いつも見慣れたエダナナフシとは様子が違うことに気が付いた。(^^)!? 「これ、トゲナナフシだよ!」 まだ幼虫で特徴的なトゲは生えていないが、褐色のずん胴な体型からほぼ間違いないだろう。千葉県レッドデータブックではランクC(要保護生物)と、それほど希少ではないようだが、俺にとっては初見。見渡せばそこかしこに十数匹はいるだろう。いいぞ〜キムシン、頼りになる!(^o^)v
ツチイナゴの幼虫? ヒガンマムシグサ
調子に乗ってこんなバッタも写してみたが、同定不能(^_^;) 夏以降、この付近ではツチイナゴをよく見かけることから、おそらくはそのあたりではないだろうか。。。 少し進むと、班入りの美しい葉をしたマムシグサの仲間にも出会った。正確な同定は出来ないが、おそらくヒガンマムシグサであろう。
ザトウムシの捕食 ザトウムシの捕食
キムシンに「小さきもの」発見のお株を奪われて意地になったわけではないが(^_^;)、俺もこんなのを発見!体長1cmに満たない小さなハエを捕食しているザトウムシだ。ユラユラと宙吊りになったように大股で歩く彼らが、この華奢な足でハエを捕らえたのか?にわかには信じがたいが、こんなところにハエの死骸が落ちていたはずはないし。。。とりあえず誰も興味のない貴重なショット?として掲載させていただこう(^^ゞ
クヌギ カンアオイ
あのクヌギは健在。メクレは剥がされることなくそのまま残り、既に樹液を滲ませてコクワが数頭挟まっていた。 足元のカンアオイも、瑞々しい青さを保っている。昨年に比べて少しだけ成長しているようだ。
オニグモ オニグモの捕食
夜間、精緻な巣を張り巡らせているのはオニグモだ。主な獲物はガの仲間のようだが、このようにコガネムシなどの大型の甲虫を捕らえていることもある。驚かされるのは、この巣を明け方に自分で片付け、夕方に毎日張り直しているということだ。片付ける際には巣を食べると云う話も聞くのだが。。。
コガムシ シマゲンゴロウ
田んぼを泳ぐコガムシ。ゲンゴロウの仲間に比べるとずっと泳ぐのが下手で、地上の虫が水中をもがきながら泳いでいると云った感じだ。 こちらはスイスイと上手に泳ぐシマゲンゴロウ。地味なゲンゴロウの仲間の中では異色の、きれいな模様を持つ可愛いヤツだ。
ドジョウ ヤマアカガエル
体長10cm超のドジョウの姿や、、、 もうオタマジャクシとは呼べない、尾が縮むのを待つばかりのアカガエルも。。。
シュレーゲルアオガエル アマガエル
ちょっと見アマガエルと区別がつき難いが、これはシュレーゲルアオガエル。主観では、谷津田で一番きれいな声で鳴くカエルだと思う。 こちらはゲコゲゴ鳴くアマガエル。見分けるのは簡単。目から鼻先に線が入っているのがアマガエルで入らないのがシュレーゲルだ。
アカハライモリ アカハライモリ
昨年その存在に驚かされたアカハライモリも、ここ天竺では普通種だということが判った。今日は5m四方に十数頭が集まっていた。左の個体は体の背面にまで赤いラインが出た珍しい?個体だ。
アカハライモリ アカハライモリ
いけないとは知りつつ、赤い腹を見たくて1頭に陸に上がってもらった。良く見れば愛嬌のある可愛らしい生き物だ。イモリはフグ毒のテトロドトキシンに似た毒を分泌することから、素手で触るのは避けた方が良いと云うが、子供の頃熱帯魚屋で買ったイモリをずいぶん弄くり回しても何でもなかった。またろくな手入れをしなかったにもかかわらず、ずいぶん長生きしたように記憶している。生育環境さえ整えば、本当は丈夫な生き物なのだろう。繁殖行動も特徴的(オスが精子の入った袋を落とし、メスがその上を通過しながら排泄口から体内に取り込む)だと聞く。今回は観察は適わなかったが、いつかじっくりと観察してみたいものだ。
そうそう、すっかり忘れていたが、当初の目的であったホタルはどうだったのか。。。(^^ゞ 昨年の台風の後、水路が氾濫して心配させられたが、大丈夫。今年もちゃんと発生していた。昨年同様に数はそれほど多くはなかったが、幻想的で儚げな光を十分楽しませてくれた。
彼らの楽園が、どうかいつまでもものまま続いてくれますように。。。

2006年フィールドノート
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