2005/11/5(土)  晴れ

ここのところずっと好天が続いている。今日も素晴らしい天気だ。
11月に入ってから来シーズンのポイント探しを始めたが、千葉県恐るべし!地形図を眺めているだけで心踊る場所が多い(^^) 一昨日(11/3(木))に続いて今日も谷津田と雑木林を求めて散策だ!!

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千葉県 某所

今日も、どちらかと云えばメクレクヌギの探索と云うよりは里山散策に重きを置いた場所。できることならば、今も残る農村の暮らしと生き物たちの係わりの延長線上に、カブクワのポイントを見つけたいと願うためだ。
昔ながらの農業のあり方を一部でも残しているのは、開発の手の届かなかった不便な場所であることが多い。農家の方のノスタルジーがそれらを守ってきたのではなく、地の利の悪さから、労多く非効率な稲作を強いられている場所と云った方が正確なのだろう。それだけに農用林としての価値を失い、農業との関係を断ち切られた雑木林にまで手を入れているケースは少ないようだ。
可能性は高くはないだろう。でも今しばらくは、そんな奇跡のフィールドがあることを信じてポイント探しを楽しんでみたい。
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狭い農道にようやく見つけた車の駐車スペース脇には大きなカキノキが。秋の里山では必ず見かける風景だ。熟したカキの実にアカタテハをはじめとしたタテハチョウの仲間が集まっているのにも、もう見慣れた。
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カキノキの下の草地には、コバネイナゴや、 ツチイナゴなどが無数に集まっている。
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こちらもお馴染みのキタテハ。秋に羽化して成虫のまま冬を越す秋型は、翅の縁のギザギザが際立ち、翅を閉じるとそこかしこにある枯葉と見分けがつかない。また裏面の白い『 L 』字模様が良く目立つのも特徴のひとつだ。どうでも良いことだが、少し縦長になる秋型のキタテハ(右写真)を見ると、何故か「不思議の国のアリス」に出てくるトランプの兵隊を思い出すのだが。。。(^_^;)
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うつむき加減に咲いているのはベニバナノボロギク。アフリカを原産地とする帰化植物とのことだ。
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こちらは春の田んぼ脇でよく見るハハコグサ。「全身が白い柔毛で覆われた、小さくて優しげな植物」のイメージがあるが、旺盛な成長期を終えた今、ずいぶんと立派な株に育ってているようだ。
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今日一番目に止まり、印象に残ったのが青いリンドウの花。比較的急な斜面に張り付くようにいくつもの蕾をつけ、日当たりの良い場所では競うように可憐な花の競演を繰り広げていた。
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谷津の最奥部(谷頭)付近で見かけたナンブアザミ(の仲間)。アザミを見分けるには、花を裏側から見た時のつけ根にあたる「総苞」の形状や外片の反り返り方、花の咲く向き(上、斜め上、下など)、それに葉の形などが重要な決め手になるようだ。
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こちらは上のナンブアザミよりもずっと弱々しい感じのノハラアザミ(?)
ヒラタアブの仲間(ヒメヒラタアブ?)とクロハナアブの仲間が飽くことなくずっと吸蜜を続けていた。
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湿った落ち葉の中から顔を出したのはヒバカリ。噛まれると「その日ばかりの命」と云う意味で付けられた名前だというが、実際には無毒。谷津田周辺などの水辺に住み、オタマジャクシや小さなカエル、ドジョウなどを食べる大人しいヘビだ。この個体は全長40cm程でほぼ成体サイズだが、それでも右下の写真でわかる通り、こんなに小さい。思わず愛玩用に連れて帰りたい衝動に駆られる可愛らしさだ!(^^)
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この谷津田の一部は、放置されたり畑に転用しされていた。農作業をしていたオバアちゃんに尋ねると、畑にしても水が滲み出てきてしまうため(左写真)、とても作物は育たないとのこと。結果として多くは放棄され荒地化していた。後継者不足の中、谷津田の環境を維持してゆくことは困難だ。
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ハゼノキが、孤軍奮闘、秋を演出中。。。 ハダカホオズキ。この手の美味そうな実はナス科に多いが、有毒のものも多いので不用意に口にいれないようにしよう。
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これは大豆の害虫として有名なホソヘリカメムシ。集合フェロモンを利用した誘引捕獲が実用化されているらしい。 呑気に日向ぼっこ中のアマガエル。今日はあまり昆虫の姿を見かけていない。日を追うごとに秋が深まってきているのだろう。
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日当たりの良い林縁で見かけることの多い、一見毒々しいこの実はクサギ。その名の通り葉を揉むと乾燥した薬のような何とも表現しにくい臭いがする。車のクラッチ版が滑って焦げたような、と云っても伝わらないだろうなぁ。。。(^_^;)
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なんと、一昨日に続きここも広葉樹マークが植林化されていた。。。 周辺にはクヌギも見つかるのだが、
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手入れが疎かにされて常緑の陰樹が増え始めている。斜面の下は湧き水で湿地化しており、洞からはサワガニが這い出てきた。
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周辺を歩くと、ガマの繁る比較的広い面積の湿原が。近づくと、音も立てずに大きなフクロウが飛び去るのが見えた。カヤネズミなどエサとなる小動物が生息しているのだろう。
ここで少し遅めの昼食を摂ることに。ちなみに「塩ラーメンとコーヒー」が、秋から春先にかけての散策中のスタンダード&ゴージャスメニューだ(^^ゞ
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湿地を形作り維持しているのは、谷津の奥から流れくる湧き水だ。ぬかるむ足元を気にしながらその源を求めて進むことにすると、、、やはり見つかった。赤く染まったタコノアシだ。群生を期待したが、残念ながら倒れた数本が見られただけだった。
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そしてたどり着いたのが、このため池。谷津の谷頭に渇水時に備えたため池があることはままあるが、その多くは周囲を護岸するなどした人工的なものだ。こんな自然のままの場所を見つけると、「もしやタガメ?」なんて欲が頭をもたげてしまう(^^ゞ
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ヤマアカガエルやカナヘビも、冬眠前の最後の腹ごしらえに余念がない。
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ほんの数日前までは、そこかしこで多くの昆虫たちを見かけることが出来たのに、今日はすっかり寂しい散策となった。確かに、気付けば陽射しも目にする風景も秋そのものに変わってきている。生き物たちは敏感にそれらを感じ取っているのだろう。
里山が再び生き物たちで満ち溢れるまでの数ヶ月、新しいフィールドをひとつでも多く見つけておきたいものだ。。。

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