2005/7/31(日)  晴れ

昨夜は予想外の天候の急変に、楽しみにしていた夜間の採集は取りやめざるを得なかった。どうやら那須では夏場、夕方になると驟雨に見舞われることが多いらしい。雨後は一気に気温が下がる。寒いくらいの夜気に包まれて、昼間の疲れもあったのだろう。気が付けばぐっすりと眠り込んでいた。。。
そして、今朝、

。。。明るい日差しが大きな窓から一杯に差し込んで、目が覚めた。快晴だ!

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那須 友人宅付近

朝食までのわずかな時間、ちょっとだけ散歩することにした。

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ひときわ大きな葉を繁らせているこの樹は、トチノキ。樹高30m程もある巨木だ。褐色の実の中にある種子がいわゆる「トチノミ」で、これから作られるトチモチなどでもお馴染みだろう。このトチノミは農山村では重要な食料となっていたようで、焼畑農耕の始まった縄文の昔からつい先ごろまで、大切に守られてきたと云う。
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ふと目に留まった繊細で美しいこの花はホザキシモツケ。70〜80cm程の背丈だが、立派な木本(樹)だ。本州での自然分布は、霧が峰や戦場ヶ原のみとのことなので、誰かによる植栽から増えてしまったものだと思われるが、こういった悪意のない行為が生態系を壊すことにもなりかねない。近年クワガタの世界で問題になっている放虫と同じ問題が、植物の世界ではずっと以前から問題視されてきたのだ。。。
。。。などと道草を食っているうちに、子供らが俺を待ちきれず、昨日の樹液コナラに向かっているのに遭遇した。
そんなに虫捕りがしたいのか(^^)? それじゃ、今日は那須で新規のミヤマポイントを探すことにしよう!(^O^)/

、と云うことで事前に地形図でチェックしていたポイントに向かう。目的としているのは川に沿った低山。ここは東向き緩斜面の理想的な場所に思えたのだが、さて、成果はいかに。。。?

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林道に入ってすぐ、地形図には出ていない沢沿いの小径があった。午前中から30℃を超える猛暑にあって、林の中はひんやりと涼しくさえある。ハグロトンボが群れ飛ぶ様子に、期待は大きく膨らみ、こちらの道を採ることにした。

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湿った落ち葉の上には無数のニホンアカガエルも見られる。途中、沢が大きく湾曲して島のようになった場所にまとまったクヌギの樹が見える。こりゃ、もしやミヤマの楽園ではないのか!?子供たちを友人に任せ、何とか向こう岸の楽園にたどりつくと。。。
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容易に人が渡れないこともあって、ササが立ち上がり、もの凄いヤブになってしまっている。クヌギ自体はそこそこあるが、結局有望そうなのは、最初に向こう側から目をつけた沢沿いの数本だけのようだ。さっそく目ぼしい大径クヌギに蹴りを食らわせると、数箇所でバサバサと落下音が。やば!準備もせずに早まったぁ〜(T_T)\  深いヤブの中、結局探し出せたのはミヤマ♀と、スジとしてはそこそこサイズの♂(^_^;) のみ。樹液のありかも不明のままだった。
周囲にはウルシなども多く、残念ながらあまり採集に適した場所とは云えないだろう。

ようやく元の道に復帰して先に進むと、一転して視界が開け、目の前には休耕田が広がった。友人に預けていた子供たちが、沢に湿地に、思い思いの場所で拙く網を振り回しているのが見えた。
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天竺でも見掛けるチダケサシが、ここでは群生していた。ぬかるむ足元を気にしながらその中に入り込むと、無数の蝶と小さな甲虫が飛び立つ。その中でも一番堂々としていたのがこのアオハナムグリ。ハナムグリ、コアオハナムグリなど良く似た種が多いが、体の毛深さなどから判断した。
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注意深く見ると、そこかしこにアカハナカミキリが。。。花に集まるカミキリに興味を持ち始めたのはごく最近だが、比較的平凡なこんな種でもその美しさにはハッとさせられる。

その後、いくつかのポイントを回ったが、なかなか決定的なポイントを見つけるには至らなかった。子供たちはすっかり意気投合し、まるで兄弟のように呼び合いながら山道を歩く。
これで十分。今日は子供たちの思い出に残る、楽しい一日となったことだろう。
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青い空、白い雲、照りつける真夏の日差し。緑の草原に描かれた1本の道が、クヌギに向かって伸びている。君たちのその小さな虫かごには今、どんな夢が詰まっているのだろう?

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